バタバタしていて、ちょっと間が開いてしまいました(大汗)。
さて、前回の続きです。
⑨現地の食材を、現地スーパー・肉屋等に注文・購入(出発3か月前)
これがなかなかに大変です。
各ショップ特に注文カタログがあるわけではありませんし、例えば「ベーコン」といっても、どのブランドのものを店で取り扱っているか、内容量はどのくらいか等もわからないので、「イギリス製・ベーコン」のようにネットでググって、最も出回っている商品を見つけて、その商品名・個数を注文リストに書き、注意書きとして「もしこの商品がなければ、総量で同じような内容量になる、別の代替商品をお願いします」のように書き添えます。
デキる店員に当たると、代替品の手配もスムースで、同程度の量をきちんと手配してもらえるのですが、そうでないと・・・
島に到着して、嘆きの雄たけびをあげることになります(笑)。
例えば、忘れもしない約10年前の「コーンフレーク事件」。
取材班と島に到着する私の最初の仕事は、まずは各商店からの注文品が入った大箱を開封&内容確認して食材整理すること。
箱を開けると、おびただしい量のコーンフレーク。
「あーーー」
希望の商品がなく、代替品を入れてくれたようでしたが、おデキにならない店員が手配したのか・・・その代替品の量は、注文した商品の約5倍・・・日本ではおよそ目にしないような大箱(日本で一般的に売られているサイズのコーンフレークの約5倍量の大箱)が、注文した小箱と同じ数入っていたのです。
「支払いの時に気づかなかったの?」
と皆様思われるかもしれませんが、こうした商品を遠い本国イギリス等から輸入しているフォークランドでは、輸送費や手数料が商品価格にプラスされ物価が非常に高いため、判別が非常に難しいのです。
この時のコーンフレークは、その後のロケ2回でも食べきれず、暫くはあの巨大なコーンフレークの箱が夢に出て来るイキオイでした(汗)。
このように、店員の裁量で実際送られた代替品が極端に多かったり、少なかったりというのは、その後も毎回のように起こるのですが、「あるある法則」が、
「大切な食材に限って少なく、どうでもいい食材が多い」(涙)
代替品の不備については毎回ショップに連絡するのですが、結局返金や交換はある程度迅速に行われなければならないので、何か月も返品できない場合は、結局は泣き寝入りとなってしまいます。
⑩日本から送付した国際宅急便、現地購入した食材の離島への到着を確認(出発1か月前)
日本から送付した国際宅急便の到着・・・何と言ってもこれが一番の懸念事項です。大抵は、日本から首都スタンレーまで3~5週間程度で到着、離島には更にその1~3週間後に到着するのですが、一度荷物が世界中を3か月以上彷徨った後に4か月目に紛失が発覚ということがあり、この時には食材の買いなおしや持って行く手配など、本当に大変でした。
国際宅急便は、オンラインで荷物追跡が出来るのですが、この時は、日本~アメリカ~メキシコ~ブラジル~イギリス~アメリカ~ロシア・・・といった具合に、まさに荷物が世界中を彷徨っていました。荷物がメキシコに行った時点で、D●Lにはクレームを入れ、フォークランドへの唯一の民間フライトはチリからの週一便のフライトのみなので、とにかくチリに運んでほしい旨を伝えたのですが、どうもルートや行き先は完全にコンピューター管理となっているらしく、そういったマニュアル要請はなかなか反映させにくい、とのことでした。
そして荷物がロシアに行った時点で、オンライントラッキングは途絶えてしまったのでした。
この時の経験もあって、日本からの国際宅急便の送付はかなり早めにするようにしています。
⑪青果物・鶏卵などの生鮮食品手配(出発直前)
野菜・果物といった青果物・・・フォークランドでは自家用のちょっとした野菜を家庭菜園で作ることはあれども、産業としての農業はほぼ存在しません。勿論、土壌や気候が農業には全く適していないというのが大きな理由です。
最近は南米等からの供給船も増えたせいか、現地のスーパーでもそんなに古くない(新しいとは言いませんが:笑)様々な種類の青果物を見かけるようになりましたし、数年前に地元ハウス栽培の新鮮な野菜を少量ではあるものの売る店が開店しました。以前はスーパー等で売っている青果物は、萎びていたり変色したりしているのがデフォでした(笑)。
今でも次の供給船が来る直前などに、変色して一見してリンゴとはわからないような(爆)リンゴ等が店頭に並んでいるのも、ごく普通のことです。
そして何と言っても・・・野菜や果物は本当に高い!
きゅうり(サイズは日本より大分大きめですが)1本が400円、キャベツ1個が1000円近くします。
鶏卵もお店で売られているもののは、チリから輸入し、店頭に並ぶ頃には既に産んでから2週間くらい経ったものなので、1~1.5か月間のロケの使用に耐えうるものではありません。
でも、離島の冷蔵庫・冷凍庫が小さく、タンパク源が限られるロケでは、やはりある程度は常温保存できる卵は不可欠!
鶏卵の手配については、何羽もニワトリを飼っている首都スタンレーに住む友人に依頼します。取材班がヘリコプターや船で離島入りする日に合わせて卵を取り置いてもらい、毎回大体100個くらい離島に持参します。そして滞在最初の3週間(それ以降は常温保存では厳しい)の大切なタンパク源となるのです。
青果物の手配については、現地在住の友人に、取材班到着1週間前に先述の地元野菜の店(日曜しか開店しないので、週一の土曜便で到着する取材班に持たせる場合は1週間前の日曜に買うことになる)で開店前に並んで葉物野菜を買ってもらい、葉物以外の野菜はスーパーでよさそうなものを見繕ってもらいます。
離島では冷蔵庫がないので、なるべく日持ちしそうな種類の野菜や果物(玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、りんご等)中心にそろえることになり、葉物野菜等日持ちしない青果物については、滞在最初の1週間ほどで食べきることになります。
このブログシリーズの題名の由来となった映画「南極料理人」、或いは南極越冬隊では、巨大な冷凍庫・冷蔵庫があるので、青果物は冷凍のものをふんだんに持って行くことが出来るものと思われるので、このあたりも「亜南極料理人」の状況はより厳しいものがあるのです。
さて、食材準備編はここまでです。
次回からは、「亜南極料理人」による料理事情や、涙と笑いのエピソードなどについて書いていきたいと思います。