ニューアイランド
マユグロアホウドリ&イワトビペンギンコロニーでの亜南極料理人

堺雅人さんが主演の映画「南極料理人」では、隊員がシェフに内緒でこっそりインスタントラーメンを夜食等で食べ続けた結果、ラーメンの在庫がなくなって隊員たちがとても落ち込んでしまった、というエピソードがありました。

映画では、堺さん演じる料理人が工夫を凝らして何とかラーメンの麺を作り上げ、隊員たち大感激!という内容になっていましたね。

この「ラーメンがなくなった」エピソードを見て、「フフフ・・・全く私たちのケースと同じだわ」と思った亜南極料理人。まずは、ラーメンにまつわるお話を書いてみたいと思います。

いろいろな取材班と仕事をしてきましたが、「ラーメンが嫌い」という方には会ったことがありません。やはり、ラーメンはもはや日本人のソウルフード的存在なのでしょう。

袋インスタントラーメンは、主に「夜間の作業がある時の夜食」「宿泊棟から離れた場所での撮影で、簡易小屋やテント泊となる時の食事用」「調理の時間が取れない日の非常用」として、日本から持参する食材リストにも入れています。

ラーメンは皆さんの大好物なので、出来ればたくさん持ってきたいところですが、荷物の量はかなり神経質にセーブしなければならないので、そうは行きません。

現地でもインスタントラーメンは売っているのですが100%中国・韓国製で、日本人には非常に不評な味な上、輸送費が乗って非常に割高なので使いません。

その時の取材班にもよるのですが、映画のようにこっそり夜食等で食べ続ける方もいて、取材前半に早々にインスタントラーメンがなくなり、皆が一気に落ち込んでしまったということも何度かありました。

やはり、お店もテレビも娯楽もなく、住民もわずか数人、過酷な気象条件下での肉体的にも精神的にも大変な長期取材、となると、「食の楽しみ」というのは1日の中でも非常に大きくなってきます。夜食にラーメンを食べるというのも、抗しがたい誘惑なのでしょう。

亜南極料理人としては、ロケの初めの1週間ほどラーメンの減りに目を光らせ、減りが早いようなら2週間目からは、「フード・ポリス」(冗談で私をそう呼ぶクルーがいました:笑)と化し、食材を厳しく(笑)取り締まることになります。

「日本ではラーメンは殆ど食べないけど、ここに来たらラーメンが食べたくなった」とおっしゃっていたクルーの方がいましたが、人というものは、「いつでも食べられる」となるとそう欲しくないものでも、「ない。限られている」となると、猛烈に欲しくなるものかも知れません。

「ない」となると猛烈に欲しくなるもの・・・お酒もそうかも知れません。

お酒は基本的には「欲しい方は自費で購入」となり、離島に行く前にスーパー等で買ってもらうことになります。娯楽もなく過酷な場所での長期ロケなので、私は経験上、「多めに準備して頂いた方がいいですよ」とアドバイスするのですが、中には「これを機会に断酒しようと思っているので」「撮影で忙しくて飲む暇もないと思うので」、ということで少ししか購入しないクルーもいます。

経験から(笑)かなりしつこく、「島へ行ったらもう手に入りませんよ」「余ったら後日地元の人に安く買い取ってもらうこともできますよ」とアドバイスするのですが、「欲しくても買えない離島」というのが、断酒・あるいは休肝に丁度いい、と思う方も多いようです。

「そうですか・・・わかりました。」

と最終的には笑顔で引き下がる私ですが・・・実は、お酒をめぐる様々なエピソードにも事欠きません。

例えば・・・その時も、やはり前述のようなことで、お酒を少ししか用意していかなかったクルー(仮名:Aさん)がいました。過酷な環境での厳しく大変な取材が続く中で、やはりAさんもストレス解消にご自分が思ったより酒量が増えてしまい、ある日お酒がなくなってしまったようでした。

そんなある夜。

Aさんが、私の部屋に気まずそうな顔をしてやってきました。

「美香子さん・・・実は・・・」

「えっ!?マジですか!?」と私もびっくりしてしまったことがありました。

次回はそのエピソードから始めます(^^)/

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